大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和33(オ)1060 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人杉山朝之進の上告理由について。

所論は、本件において当事者双方は本件売買契約につき訴外Dが上告人を代理す

る権限の有無を争い攻撃防禦を尽したのにもかかわらず、原判決は本件売買契約に

つき訴外Eが上告人を代理する権限があつたと認定したのは、当事者の主張しない

事実につき判断した違法ないし釈明権不行使による審理不尽の違法がある、という

にある。

しかし、本件において上告人は本件土地は上告人の所有であると主張し、その前

提の下に被上告人らに対し右土地が上告人の所有であることの確認、右土地につき

被上告人らのためになされた所有権移転登記手続の抹消登記手続並びに占有保全を

求めるに対し、被上告人らはそれぞれ本件土地を上告人から買いうけた旨主張して

本件土地が上告人の所有であることを争つていわゆる積極否認をしたものであつて、

右売買の事実は、本件土地は上告人の所有である旨の上告人主張の主要事実を否認

するための間接事実というべきである。そして、証拠調の結果から認められる間接

事実はいずれの当事者からも主張されていない場合でも採用できるものと解すべき

であるから、原審が、第一審判決添附第一目録記載の土地は上告人の代理人である

Eから被上告人B1に、同第二目録記載の土地は上告人からその無権代理行為を追

認されたFから被上告人B2にそれぞれ売り渡された事実を認定して、本件土地が

上告人の所有であることを前提とする上告人の請求はすべて失当である旨判断した

のは相当である。論旨は弁論主義違反ないし審理不尽をいうけれども、右と異る独

自の見解にもとづき原判決を非難するものであつて、採用するをえない(昭和一一

- 1 -

年(オ)第九二三号同年一〇月六日大審院第二民事部判決民集一五巻一七七一頁参

照)。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!